「ほたる、ゆっくりでいいからな。後ろには俺がいるからな!」

 駆は時々、後ろからほたるに声をかけている。彼は彼なりに、いつもほたるを気遣っているようだ。頼もしい小さなナイトは、爽やかな島風に似ている。その風でほたるの全身を包んで守ってくれているようだ。

 可愛らしい太陽と爽やかな風に包まれている時が、ほたるは一番幸せそうだった。

 ほたるの旅館からしばらく進んだところに、川沿いに走るサイクリングロードがある。三人はその道をしばらく走ったところで自転車を停め、並んで緑の上に座った。その時も、ほたるは二人に囲まれるように座っている。

 三人の頭の上には青空が広がり、目の前には澄んだ川が流れている。