「わ、駆もう来ているし! 待たせてごめんね!」

 ほどなくして、自転車に乗った陽咲がやってきた。陽咲は二人を見て慌てている。


「陽咲ちゃん、全然待っていないから大丈夫だよ。さあ、河原に行こう」

「おう! じゃ、いつものフォーメーションになるぞ!」

「オッケー!」


 いつものフォーメーションとは、三人が自転車で走る時の順番のことだ。先頭は陽咲、二番目にほたる、そして駆と続く。どうしてこういう並びなったのかは分からないけど、たぶん陽咲と駆は運動神経が良く、ほたるが運動音痴だからだと思う。

 ほたるはちょっとどんくさくて、自転車に乗るのも得意じゃない。だから陽咲と駆は彼女を間に挟んで走ることで、ほたるを守っているのだと思う。