「ほたる、お待たせ」

 駆はほたるが外に出たあとすぐにやってきた。自転車のカゴにはサッカーボールが入っている。


「駆くんはいつもすぐに来てくれるね」

「当たり前だろ! 女の子を待たせたらいけないからな」

 得意げに話す駆の額にはうっすらと汗がにじんでいる。好きな子を待たせたくないから急いで来たのだろうか。


「駆くんって本当にカッコいい。ほたる、駆くんのことだーい好き!」

「ば! ばか! 恥ずかしいだろ」

 ほたるはストレートに気持ちを伝えることが出来る。駆に対しても、何度も好きだって伝えている。その度に駆はりんごよりも顔を真っ赤にして照れていた。
 駆はほたるに対して好きとは言わない。でも、僕は知っているよ。君も彼女が大好きだということ。