母さんからの電話があってすぐに俺は大通りに出てタクシーを拾い指定された都内の大学病院へと向かった。
病院に着きエレベーターで病室に向かうと真理子叔母さんがパイプ椅子に座って泣きじゃくっておりその隣で母さんが背中をさすっていて、俺に気が付くと駆け寄ってきた。
『康介・・・』
『ルイ、なんで? そんなすぐに進行するような病気じゃないって前に言ってたじゃねえかよ・・・』
『・・・屋上から転落したそうなの。』
自殺・・・?
ベッドに歩み寄ると痛々しい転落による傷跡が目立つルイの姿があった。
点滴や呼吸器は外されて横になっているルイからは一切生気を感じなかった。
男の子にしてはとても小柄でなんだか儚い印象のあったその姿は、いざ本当に命がなくなってしまうと人形のようだった。
九条 涙(クジョウ ルイ)15歳の俺の従兄弟で重い心臓病を患っていたためにずっと入退院を繰り返していた。俺も病院以外での元気そうなルイの姿は見たことがなくて、たまに病院に足を運ぶ程度だった。
『なんで屋上なんかに・・・』
『あの子のせいよ。』
真理子叔母さんがボソッと呟いた。
『あの子って・・・?』
『サナよ。』