『コウ、今日、ユミちゃん大丈夫だったのか?』

カラオケへと向かう途中、空也が俺の隣に並んでは尋ねてくる。

『あー・・・別れた。』

『はあ!? なんで!?』


橋本 優美(ハシモト ユミ) 俺ら4人と同じ中学からの馴染みで俺の彼女だった。
中3の時から付き合っていて来月の記念日で2年目だった。
名前の通り優しくて美人で頭もよく人当たりもよかったので正に完璧な彼女だった。


『いろいろあんだよ・・・』

そう言葉を濁すと空也はそれ以上詮索してこなかった。



完璧すぎた彼女の唯一の欠点は自分に自信を持てなかったこと。


俺の隣にいつまでいることができるか。

ずっと自分を好きでいてもらえるか。


俺はユミのことが好きだ。ずっと好きでいる。


そう言っても彼女は聞く耳を持たなかった。

もう無理。別れたい。コウのことばかり考え続ける自分が嫌だ。


そう言ってユミの顔はひどく疲れていた。俺はそれ以上何も言うことはできなかった。




でも、もし、ほんの少しでも余裕ができたら俺のところに戻ってきてほしい。俺はユミのことが好きだから。


それだけを伝えて俺たちは約2年の恋人という関係を解消した。