真叶side


「今日はここまでで解散」

「「「はいっ」」」


「お前、なんだかんだ言って実力あんじゃねーか」


あーぁ。


高塚の奴、赤松に蹴り入れちゃって。


でもその蹴りじゃ甘いんじゃない?

後輩想いだね、高塚は。


「痛った!」


「お前もなもなっ!!」


「有難うございます」


「高塚先輩、真盛は蹴らないとか卑怯です!!!」


まぁ、真盛に蹴りを入れたらどうなるか分かってるからなんでしょ?


正直に言うと真盛が上がってきた事で俺に緊張が走った。


コイツには見っともない所見せられない。


嬉しいのは嬉しいけど……。


「鎌切と中野って言ったか?お前ら羨ましいのな!監督じきじきに褒められて」


「そんな事ないっスよ」


「がんばれよ」


「「はいっ!!」」


確かに監督があんなに人を褒めるのは珍しいこと。


引退する先輩達以外では特に。


昔の俺と真盛の夢は2人で世界の舞台に立つことだった。


けど、真盛はそんな事覚えてないかも知れないね。