その日、髪型は違反しない程度にコテでゆるく巻いた。
その日、笑顔の練習も何回もした。
その日、身だしなみもきちんと整えた。
彼が通るであろう廊下の柱の陰で待ち伏せした。
そして、決戦の時が来たはずなのに……
「やらかした……」
長い長い廊下を歩く足取りは重い。何をやらかしたって?
私、天木茉利(あまきまり)、高校2年生。人生初の告白を冒頭にあったように、なぜか好きな人ではない人にしてしまいました。
「まりりんおかえりー」
私を待っていてくれたのは、友達の一華(いちか)ちゃん。
「いーちかちゃーーーんっ」
私は泣きべそをかきながら、一華ちゃんに飛びついた。
「なに!?告白してきたんじゃないの?玉砕?こっぴどく振られた?」
一華ちゃんの言葉に大きく首を振る私。
「圭吾くんじゃない人に告白しちゃったよー」
「はい?」
「だーかーらっ、別な人に告白しちゃった」