「拓が優花のお母さんから、優花に渡してって頼まれた手紙を、俺の住所に送ってもらったんだ。読んでみて」
 


「うん……」
 


緊張で震える手を、深呼吸をしながら必死で止めようとしたけれど震えは止まらなくて、見かねた菜子が封筒の端っこをハサミで綺麗に切ってくれた。
 


「はい」
 


「ありがとう」
 


菜子に渡された手紙を震える手でゆっくり開く。
 


「……え……」
 


私はそこに書かれていることを見て、頭が真っ白になっていくのを感じた。
 


「なんて書いてあったの?」
 


菜子が私の持っている手紙を覗き込んで、そこに書かれている言葉を読んだ。
 


「『あなたは、研究の材料として買われた』え、ちょっと待って。買われたって……これって雄太郎さんにってこと?」
 


「え!?見せて」
 


一紀は私の手から手紙を取り上げると、何度も何度もそこに書かれていることを読み返していた。
 


「研究の材料って……ちょっと待って。雄太郎さんってなんの研究してるんだっけ?」
 


「……」
 


一紀が私に尋ねて来るけれど、あまりに衝撃的な内容で、それに答えるだけの余裕がなかった。