過去になにかトラウマがあった訳では無い。
ただ単に、他人から見られるのが苦手だった。
だからといって、昔から友達を作るのを拒んでいた訳では無い。
むしろ今だって、積極的になれないだけで作りたくないと思ってはいない。
昔は、今の私とは違うくらいに明るかった。
友達と話す時はいつも話の中心にいるような人だった。
あの時は、皆から見られてても全然嫌な気持ちにならなかった。
楽しくて、楽しくて、たぶん会話に一生懸命だったのだ。
幼い頃はそれで良かった。
皆が皆、すべてに全力だったから。
本気かどうかなんて疑う余地すらなかったから。
でも大きくなるにつれて、ひとは嘘を学ぶ。
うまくやっていくために、本心を隠して嘘を吐く。
人が怖いわけじゃない。話したくないわけじゃない。
ただ、嘘をつかれるのが嫌なだけなんだ。
人を、疑ってしまうから。
自分に向けられる好意が本物なのかどうか疑ってしまうから。
信用出来ないから、皆に信用されなくて、
私はひとりになってしまったんだ。
きっと、壁を作っているから。