唇が触れ合い、メイファンの体がピクリと硬直する。抱きしめる腕に力を込めて、ワンリーがついばむように何度も口づけを繰り返す。初めての体験にどうしていいかわからず、メイファンは身を堅くしてワンリーにしがみついていた。
 やがてワンリーがゆっくりと体を離して、メイファンは目を開く。なんだか気恥ずかしくて、まともに目が合わせられない。うつむくメイファンの頬をなでて、ワンリーが告げた。

「あと少しだけ辛抱してくれ」
「ワンリー様も無茶はなさいませんように」

 メイファンはようやく顔を上げて、互いに笑みを交わし合う。ワンリーは来たときと同じように静かに庵を出ていった。

 誰もいなくなった暗い部屋の中で、メイファンはぼんやりと立ち尽くす。ワンリーと触れ合った唇に指先でそっと触れてみた。途端に記憶がよみがえり、顔が熱くなる。頭がぎゅっと締め付けられるような感覚に、鼓動も早くなった。

「ワンリー様……」

 無意識に名前を呼んでみて、恋しさが募る。さっき別れたばかりなのに、自分で牢に戻るように促したのに、またすぐにでも会いたくてしかたがなかった。