この街には、昔から古い言い伝えがある。
満月の夜に17歳になった女の子は、ヴァンパイアから血を求められるという。
でも、そんな言い伝えはもう500年以上も起こっていないらしい。
この街のみんなは、そんな言い伝えなんて、おとぎ話としか
…信じていない。
「…今夜行くから…待っとけよ…」
夢の中で、私の前からスウッと消えた黒い人影。
( …なんだ、今の、)
「那奈〜!起きなさい!遅刻するよ〜!」
下の階から、お母さんの叫び声。
「………あー、なんだか変な夢見たなあ〜。」
ベッドから起きてグーッと伸びをする。
「…ふああぁ〜〜〜。」
トテトテと階段を降りる。
私は、眠たい目をこすりながらリビングのドアを開けた。