「受け取れません」

なぜ高校生の私に、こんな大金を差し出すのか理解できない。


「これは母の遺志なんだ」


姫川さんは早く仕舞って欲しいのか、封筒を私に近づけた。


「もらう理由ないです」


封筒を押し戻すと姫川さんは


「君のお母さんに受け取ってもらえなかった
 だから君に渡そうと思って」


もう訳がわからない。


混乱して頭が働かない自分がいる。


「大学の学費にでも充てて欲しい」

姫川さんは続けた。


「母なりの償いなんだと思うから」