「それ本当なんですか?」
「嘘をつく理由がある?」
質問で返され黙っていると
「だから立場上、今すぐは無理だけど、会いたいみたいだよ」
「会う?」
警視総監に?
「君の了承が得られたらだけど」
そう言うと姫川さんは店内を見渡した。
「なんでですか?」
全く言葉が入ってこない感覚に戸惑った。
私の父親が警視総監で目の前の人が、お兄さんだって事に現実味が無い。
姫川さんは少し間を置くと
「家の母親が死んだからかな」
感情が読み取れない表情で言った。
「それで今日君に会いに来たのは、これを渡したかったからなんだ」
そう言うと私の前に封筒を差し出した。
明らかに手紙じゃない、厚みが凄くある。
初めて見たけど、札束が入っているのが
わかるものだった。