物心ついた頃には母と二人の生活が
当たり前だった。


自分に兄が居るとか想像してすらいなくて
何も言えずにいる私に


「突然で驚くよね」


姫川さんは少し優しい口調になって


「俺の話、聞いてくれる?」

私の目を真っ直ぐに見つめたまま言った。


背が凄く高い
180センチ以上ありそう。

黒髪で程よく短く切られた髪はおしゃれだ。
くっきりとした二重で整った顔立ち。

この人が私の兄?

全然似てないけど……


でもどこかで会ったような懐かしさを

感じるのは気のせいかな。


「駄目かな?」


私は首を横に振ることしかできなかった。