姫川さんと初めて会った日は怖さと
混乱しかなかった。
「君、早川桜さん?」
学校からの帰り道、突然呼び止められた。
「……」
答えずに見つめていると姫川さんは
名刺を差し出した。
「…警視庁…?」
「まぁ仕事はあんまり関係ないけど」
低くて良く通る声で答えると
「俺は君の兄なんだ」
私を真っ直ぐに見つめて、そう言った。
「兄?」
全く理解できなかった。
家は母一人、子一人でずっと過ごしていたから。
私の次の言葉を待たずに姫川さんは
「母親は違うけどね」
少し悲しそうに呟いた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…