「純那達とカラオケ行こうって話してたんだけど桜も行かない?」
大学で一番仲が良い若葉がスマホをバッグにしまうと、こちらを見た。
「ごめん今日は用事あるんだよね」
「あ!また例の年上ダーリン?」
「ダーリンじゃないし」
「もーじゃあ何者なわけ?いい加減おしえてよぉ」
「だから遠い親戚だってば」
「遠い親戚と毎月デートするんだ」
「デートじゃないし」
「秘密主義者!」
若葉が不満そうに見つめてくるけどこれ以上話すつもりはない。
別に若葉だから話したくないとかじゃなく
誰にも言うつもりがない事だから。
大学を出てすぐの公園の脇に大きなRVが
停まっている。
私は迷わず助手席のドアを開けると
二年前と変わらないスーツ姿の彼が待っていた。