駅前の歩道で姫川さんの車が来るのを待っていると
「桜!」
後ろから姫川さんが歩いて現れた。
いつものスーツ姿ではあるけど、ネクタイは緩められていて、少し印象が違った。
「車だと思ってました。」
「近くで飲んでたんだ、だから帰りはタクシーな」
なんだか笑い方も違う感じ。
酔ってるのかな?
「腹空いてない?」
「はい」
「じゃあどうするかなコーヒーでも飲む?」
そんなやりとりをしていると、
「あー姫川課長!ナンパっすかぁ?」
スーツを着た三人組が近づいてきた。
姫川さんと同じようにネクタイは緩められてて、顔は酔っているのか赤い。
その中の体格が良い坊主頭の人が
「ダメですよー未成年はぁ」
と姫川さんに言った。
「バカ違うから、この子は…」
「あ!すいません!彼女さんっすか?」
「藤森!」
後ろにいたもう一人の小柄で眼鏡をかけた人が肩をつかんで止めようとした。
「すいません課長。今日こいつダメですわ」
「だな」
姫川さんが笑う。
「ダメじゃねーよ。課長!俺ダメっすか?」