チュンチュン
ふわぁ~。よく寝た!今何時だろ?
時計を見ると6時だった。早っ!昨日早く寝たからかな?それとも楽しみだからかな?どっちもだよね(笑)
下におりると、お母さんが朝ごはんを作っていた。
「あら、早いわね。いつもは、起こさないと起きないのに(笑)聞いたわよ。今日デートなんですってね。これ使いなさい」
いつも友達と行く時なら『 お父さんからもらいなさい』っていうくせに今日はお母さんからお金をくれた。それも5000円も!ラッキー!
「今度、はなかの彼氏さんと会ってみたいわ。うふふ」
「か、彼氏じゃないから!」
「あらそうなの?まあ、頑張りなさいよ。うふふ」
彼氏… いつかは、そんな関係にけん君となれたりするのかな? なれると…いいな。
朝食は目玉焼きとウインナーとご飯とスープ、目玉焼きの横にはキャベツとミニトマトが置かれている。お母さんの機嫌がいい時は、いつもこのメニューだ。だからだいたい朝から機嫌がいいのかがわかる。いつも、いい時とかは、正直きつい。朝からねぇー。こんなに食べれないから(笑)
「はなか、よく聞いてちょうだい」
「う、うん」
お母さんのこんな真剣な顔、初めてみた。
「今を大切にするのよ。後悔しても、もう遅いの。だから、必ず勇気を出して挑戦するのよ」
「うん…」
なにを言っているのだろう。この時の私にはさっぱり分からなかった。でも、返事をするだけしといた。
ご飯を食べ終わり歯磨きをして着替えた。ゆかりが来るまであと2時間ちかくはある。そうだ!あの本でも読もう。まだ、1ページも読んでなかった『君と私の物語 』を読むことにした。
9時…
ピーンポーン
本を読んでいるとあっという間に時間が過ぎていた。
「お邪魔しまぁーす♪」
「あら、いらっしゃい!はなかをよろしくねぇー。可愛くしてやってちょうだい!」
「もともと可愛いですけどもっと可愛くしますねー!」
「あらまあ。いいのよ、この子にお世辞言わなくったって!」
「ちょ、ちょっとぉー!それはいいすぎでしょ?」
「はい、いいからいいから。用意してもらいなさい」
ムスッとした私にゆかりはニコッと笑って階段を上がってった。
「ちょー!待ってよ!ゆかりー!」
「はなかが、遅いからでしょー!(笑)」
なんか懐かしいなぁ。昔はいつもこんな感じだったけど、ゆかりに彼氏ができてから変わった。変わったっていうよりも仕方がないよね。最初は、彼氏ばっかでって思ってたけど今は分かるよ、ゆかり。私は、付き合ってないけど…ね。
そうこう考えているうちに、ヘアーアイロンで髪を綺麗にしていくゆかり。いつの間に!?早いな(笑)昔と変わらないとこももちろんあるよね。ハハ
「あのさ~、ゆかり」
「ん?なにー?」
「私、ゆかりの気持ち分かった気がするんだ」
「急にどしたの?気持ち悪いよー!(笑)」
っていって笑ってる。でもね、私、ちゃんとゆかりに話ときたいんだ。
「本当は、私。むきになってただけなんだ。『 好きな人なんていらないし彼氏とかもいいらない』なんて言ってたけど本当はね、ゆかりと一緒に好きな人のこととかで笑いあったりしたかった。でも、今更、彼氏がほしいーなんて恥しくて…けん君に会うまでずっと心のなかでしか思ってなかった。
ゆかりに、彼氏ができてからあまり話してなかったし1回も遊んでないし寂しかった。私にも、もし彼氏ができたらきっと、ゆかりのこと忘れちゃうんだろうななんて勘違いしててこわい気持ちもあったんだ。ごめんね。嘘なんてついたりして」
鏡越しにゆかりの顔を見ると泣いていた。
「ごめんね。はなか、寂しい思いしてたんだね。気づいてあげれなくてごめんね。でも、私は、はなかのこと忘れたりしてないよ。昼間とか、予定が入ってたら無理だけど夜とか会って話したりしよう?私もできるかぎりゆっくんとはあまり約束しない!はなかとも思い出つくりたいから」
「無理にじゃない?」
「なに、言ってんの!私たち親友でしょ?」
「そうだね…!ありがとう」
なんだか、私まで涙が出てきた。
「もう、泣かないの!」
「ゆかりも泣いてるじゃん!」
「泣いてないから!」
久しぶりにこうやって2人で笑いあったね。話して良かったな。
「待って、ゆかり!今何時?9時45分!」
「えー?!うそっ!間にあわないよ!よしっ!気合いいれてやるから!」
「うん!ありがと!」
そして…
「できたあー!ギリギリだよぉー!じゃあ、私はこれで帰るから!じゃっ!今日帰ったら連絡よろしくぅ!」
「あ、ありがとう!」
「うん!お邪魔しましたぁー!」
「バイバイ!」
あと、3分!そういえば、バックにハンカチとか入れないと!
よしっ!これでおっけー!あっ、メイクしてもらったあと鏡見てなかったな。終わったらすぐにバタバタゆかりが出ていったからな。鉢合わせしたらなんか、ねー。(笑)鏡を見ようと洗面所に向かったとたん
ピーンポーン
あっ!来た! 私は結局鏡を見ないまま靴を履き玄関を開けた。
「おは、、えっ?はなか?」
「うん、そうだけど…なにか顔についてたかな?」鏡見てなかったからなにかついてたかもしれない!どうしよう。恥ずかしいよぉ///
「なにもついてないよ。変なこと言ってもいい?」
なんだろう。嫌われちゃったかな
「う、うん」
「いつも以上に可愛いな」
えええぇえぇ!?!?可愛い!?きゃぁぁ!ドキドキ…
「そ、そ、そんなことないから…!」
「あーるよ」
そっ、そんな顔で言わないでよ~!もっとドキドキするでしょ。てれているのか髪をクシャクシャと触っていて少し顔が赤い。可愛いな。
けん君は、いつもと変わらずオシャレでかっこいい。でも、今ひとつだけ新しい顔見れたよ。てれていて可愛いところ。もっと、けん君のいろんな顔見てみたいな。
「はーなぁーかぁー?」
「あっ!ごめん!ごめん!」
「いいけど、顔赤いぞ?大丈夫か?」
「あんたもだよ!」
「あっ、それより早く行かないと!」
「そうだね!急ごう!」
「うん!」
私たちは、バス停へと走った。こんなに楽しいんだね。恋って
「ふー、間に合った!」
「よかった!よかった!疲れちゃった」
「寝ててもいいぞぉー!10分間だけだけど(笑)」
「寝ないから!」
10分後…
映画館前でお降りする方はちかくのボタンを押してください。バスのアナウンスがなった。
ぴーーんぽーーん
「もう、押したんだ!早いね(笑)」
「だろっハハハ」
その笑顔、反則だよ。けん君の笑顔すべてが私にとってとても大切なんだ。ありがとね。こんなことけん君に直接は言えないけど!
私たちは、バスをおりるとショッピングモールに入った。
「ここ相変わらず広いよな(笑)」
「うん、そうだね!映画もあるからねー!あっ、何の映画見るんだっけ?」
「あー!決めてなかったな。そういえば、はなかが読んでた『 君と私の物語 』の映画実写版になってたぞ! 」
「えっ!?本当に?!私、それみたいな!」
「じゃあ決定!」
「けん君はそれでいいの?」
「うん!はなかが一緒なら何でもいいよっ」
ドキ…
「ありがとっ」
「じゃあ、チケット買おう!」
「俺買ってくるから!ちょっと待ってて!席は、真ん中くらいでいいよな?」
「えっ、悪いよぉー!」
「いーよ!」
「ありがとう」
「おう!」
そして、私たちは、映画館へと向かった。