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 「…灰梅の為だから」

 「・・・うん」

 「オレにとっては灰梅が全てだから」

 「・・・うん」

 「きらいになった?」

 「・・・ううん」

 「だったらこっち見て」

 振り返らず歩みを進めていた灰梅の足が止まる。

 後をついていた白磁は俯いた。

 「…あの時、灰梅は傷ついた。それでも華王は何もせず逃げ出したんだ。他の華なんかオレにとってはどうでもいい。でも灰梅が傷つくことは許せない。なのに…会いたかっただなんて聞きたくなかった…。それに…灰梅はあいつらと」

 「…私、白磁といる。ずっといる。たとえ同族の人にあっても一緒に生きたりしない。ずっと白磁と二人でいるの。だから華王様を否定しないで。おねがい」

 「…灰梅がそういうなら。オレは灰梅の為にそうする」