驚きのあまり動けない白磁から黄橡が離れる。

 灰梅は再び頭を下げ、目を細めて二人を見つめえる華王に言った。

 「申し訳ございませんでした。…二度と…あなた様の前に現れませんから…」

 「…灰梅オレは」

 「…一つだけ、教えてください。華王様はなぜこんなところにいるのですか?」

 その質問には華王でなく朽葉が答えた。

 「我々三人は同族を探して旅をしているんだ。近づけばわかるだろうと思ったが…難航している…」

 「…何人くらいの華族に会えたんですか?」

 「…数えられる程度だ…まだ…」

 「…そうですか」

 茫然とする白磁の手を引き、灰梅がほほ笑んだ。

 「行こう、白磁」

 「う、うん」

 三人は二人の姿が見えなくなるまで、背中を見続けた。