「ああ。つまりだ。
家の奴らはまだ俺には従わねぇんだよ」

「じゃ、じゃあ祐一郎は……」

「『今』の俺には連れ戻せねぇだろおなァ」

だからな……、と会長は続けた。

そのいつにない真面目な眼差しに射貫かれるように感じつつも、視線を逸らさずジッと次の言葉を待つ。

「お前、俺と婚約しろ」

「はぁ!?」

そして待った俺は……奇声を発したのだった。