時間は深夜3時。

丑満つ時。

人間の子供が小さくなってようやく入れる様なお堂。

人影はなく、昼間でも人は寄り付かず、もう何十年も忘れ去られたお堂。

そのお堂の中に、三つの影が向き合って座っている。

大阪は松原出身のタヌキ。

大阪は信太山出身のキツネ。

四国は高知出身の犬神。


「はじめまして。野狐をやらせてもらってます。コスモです。出身は…」

「コスモ?」

タヌキが犬神を見ながら話を折る。

「はぁ、宇宙と書いてコスモと読みます。」

タヌキは、大笑いして言う。

「キラキラネームか?」

犬神は、キョトンとして聞く。

「本名かや?」

キツネは、恥ずかしいのか頬を赤らめて小さな声で答える。

「本名です。キラキラネームだとは思ってません。」


タヌキが大笑いしながら続ける。

「ゲヘヘ、ククク、、俺は、大阪の松原から来た化けタヌキ。名前は陣次郎!」

犬神が言う。

「変な字を書かんやろ?」


「大丈夫!陣取り合戦の陣に、次郎と書く!」

タヌキは、胸をドンと叩いて答えた。

キツネが気を取り直して犬神に言う。

「犬神はん、紹介お願いします。」

犬神は、一つ咳をすると始めた。

「名前は、特になく犬神と呼ばれている。神の眷属として今日は参加させてもらった。」

キツネが言う。

「神の眷属?」

犬神が目を閉じて言う。

「そう。」

キツネが言う。

「神の眷属?」

犬神が目を閉じたまま言う。

「そう。」

キツネが言う。

「呪詛から生まれたのに?ただの憑き物やのに?」

犬神が目を大きく見開いてキツネに襲いかかる。

「このやろー!黙って聞いてれば!四国にキツネがいなくなった訳を教えてやろうがじゃ‼」

タヌキがゲラゲラ笑いながら言う。

「まぁまぁ、神も零落すれば妖怪と同じやねんから気にしなや。犬神はんは、少し前まで神さんやったんやから。二人とも恥ずかしいことしなや。」

キツネと犬神は、タヌキの態度に気を取り直した。

何故なら、暗くて判らなかったが、タヌキは下半身を出しっぱなしで男前の顔をしていた。

キツネと犬神は、同じことを思う。

【一番恥ずかしいのはお前だ!】と…