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『お嬢様…っと』



扉をゆっくり開ければ、ベッドの上ですやすやとお眠りになられているお嬢様の姿。



『なにかされていたのか?』



傍らにはノートとペンが転がっていて。さすがにその内容までは見ることが出来ないが、どうやら寝る直前まで何かを書かれていたらしい。

そのことに、ほっと息を吐く。



『少し、心の整理の仕方を見つけられたようですね』



お嬢様がこうして眠りにつかれるようになるまで、それはそれは大変だった。

ことあるごとに「死にたい」「消えたい」と泣き叫んでいたお嬢様。

今、こうやって眠りにつくことが良いことなのかはわからない。

しかし、そんな言葉を聞くよりは、苦しそうにそう叫ばれる姿を見るよりは、こうして少しでも穏やかに眠ってくれたほうがいい。


さすがにあれは、こちらまで泣きたくなってしまうから。



『ゆっくりでいいのです。あなたは前に進んでいるのですから』




ですからどうか、よい夢を。