「なーに勝手に俺を殺してんのよ」
「.......え?」
床にぺたりと座りベッドに上半身を乗り出し泣いていた私は止まった。
確かめたくても確かめられない。
もういない人だと思ってたから..。
「ちゃんと聞いてたよ。俺の事嫌いなままでもいいからさ..こっち向いて?」
始めは切なそうな声も、最後は甘えるように聞いてくるあなた。
なりふり構わず後ろを向いて君の胸に飛び込む。
「ははっ、涙と鼻水すげーな」
意地悪なことを言いながらも私を受け止めて抱きしめてくれる。
そんなあなたも愛おしい。
「病室いないから死んだかと思った..」
「思いっきり頭ぶつけて念のため検査入院してただけだよ」
宥めるように、ずっと甘い声が心地いい。
「だ、だって..4月1日になった0時過ぎに、『もし俺がいなくなったらどうする?』ってメールしてくるからー!!」
「4月..1日..。あー、エイプリールフールか!」
「ばかー!」
自分の思い違いでこんな茶番をしていたとは..。
穴があったら入りたい。
もう顔を上げられない。
「さっき言ってたことってホント?」
「さっき?」
なんて、不安そうに聞いてきたあなた。
それに私も不安になって彼を見上げた。
「俺のこと..嫌い?」
抱きしめる腕がいっそう強まった。
私も負けじと強く抱きしめる。