いつもの登下校中。





「 今日は、暗くなったから伊織の自宅まで送る。」



この4年間、一度も伊織の自宅へ行ったことはない。場所すら知らないんだ…。




「…え…」







送る送らないの話をすると、伊織は途端にオドオドしす。
いったい、自宅に何があるっていうんだ。






「大丈夫だよ…。」





今日もまた、やんわりと断られた。
信用されてないようで、悲しくなる。





「奏多くん…そんな顔しないで…。いつも、一緒にいてくれてありがとぅ。
私…嬉しい。」






はぁ~…伊織のそんな顔みたら何も言えないじゃん。




「気を付けて帰って。」





伊織の頭を撫でながら、フッと笑う。





「…うんっ!」





伊織がやっとニコニコと笑い、帰って行く。