「違う…呼び捨てがいい」


切なそうで苦しそうな高遠くんの顔。

こんな顔は見たことない。


(ほんとにどうしちゃったの…?)


呼び捨てなんて余計に緊張するし恥ずかしい。

でも、高遠くんのお願いだから…。




「か…、翔…」


うつむいて小さい声で言うのが精いっぱい。


でもそれじゃ許してもらえなくて

指で顎を上に向けられて



「もう1回」


高遠くんの瞳が揺れる。





「か…翔」


「もう1回」




「翔」


「もう1回」





「翔っ」