「柚香先輩、1ヶ月ちょっとぶり!これ差し入れ」
清水くんが満面の笑みでペットボトルを私に向かって投げた。
「わっ。ありがと」
キャッチしてお礼を言う。
「清水くん、部活は?」
「珍しく午前だけだったから遊びに来ちゃった」
ずっとニコニコしてる清水くんに向かって、高遠くんは不機嫌に一言
「帰れよ、お前」
といつもよりずっと低い声で言い放った。
「何でアイツあんなに機嫌悪いんですか?」
清水くんが私に耳打ちする。
「そ、それは…」
言えない。
高遠くん、エッチする気満々だったからとか言えない!
「…ただ虫の居所が悪いんだと思うよ。すぐ収まるよ」
嘘&何の根拠もない返事をした。
そして清水くんが床に座ったのを見てから、高遠くんを手招きして隣に呼んだ。
(せめてこのくらいしてあげないとね)
これからって時に邪魔が入った高遠くんは、それはそれは今まで見たことがないくらいの不機嫌さ。
いや、不機嫌っていうより、むしろ怒りに満ちてる。
正直、私はホッとしてるけど…(高遠くんには内緒)。