朝食バイキングでおかずを取るのに並んでいると、後ろから声をかけられた。
「おはよ、ゆず」
弾かれたように振り向くと、そこには洋平くんの笑顔。
「お、おはよっ」
「最終日になっちゃったなー。早かったような長かったような、ってやつだな」
「そうだね。でも楽しかったね」
「それな。思ってたより全然楽しかったわ」
あ、ちゃんと喋れてる。
洋平くんが普通に話しかけてくれてるから。
あんなに一晩悩んでたのが嘘のように普通に喋れてる。
(…よかったぁ…)
でも、だからってこのままの状態でいるわけにはいかないよね。
ちゃんと洋平くんにお返事しなきゃ。
いつ?
今日中?
修学旅行が終わってから?
でも私の気持ちはもう決まってるから、すぐにでも返事した方が誠実なのかな…。
「ゆず、昨日の返事は帰ってからゆっくり考えて」
洋平くんに耳打ちされる。
まるで考えてたことが見透かされてるように。
私はコクンと頷くしかなかった。