「…え?」
『一緒に北海道行って、その景色俺にも見せて』
顔が真っ赤になってるのが自分でもわかる。
高遠くんと一緒に、北海道…。
「うん、いつか一緒に来ようね」
高校生の私たちが2人で旅行に行けるのなんてまだ先の話。
でも、高遠くんの未来に私が一緒にいることが嬉しくて、たぶん自分で思ってるよりテンション高めの声で返した。
電話を切って夜景を眺める。
ほんとにいつか、この宝石みたいな函館の夜景を高遠くんと一緒に見れたらいいな。
「ゆず、何ニヤけてんの?」
すぐ隣に気配を感じてそっちを向くと、洋平くんが手すりにもたれかかって私を見て笑ってる。
「ニヤけてないよ」
口を尖らせて反論すると、片手でほっぺをブニっと掴まれる。
「にゃにしゅんの!(何すんの!)」
「ほんとゆずは可愛いな。何で年下なんかと付き合ってんだよ」
ほっぺから手が離されて、洋平くんが苦笑する。
そしてすぐに真顔になって…
「ゆず、俺のこともちゃんと見てよ」
「え…?」
ちゃんと見る?
ちゃんと見てるよ?
洋平くんは楽しいし優しいし、おちゃらけて見えて実は人に気を使うし、すごく気がきく人だって知ってるよ。
「俺が言ってるのは、たぶん今ゆずが頭をフル回転させて考えてることと違うよ。今ゆずが考えてるのは、友達としての俺の良いところでしょ?」
こくっと頷く。
洋平くんは『やっぱり』ってまた少し寂しそうに笑った。
「ストレートに言わなきゃわかんないかー。あのね、ゆず。俺が言ってんのは…」
そこまで言った洋平くんの顔がまた真剣な表情になった。
「俺のこと好きになって、ってこと」