「俺の方が甘やかしてんと思うけどなー」


洋平くんがケラケラ笑う。


「洋平は誰にでも優しいからダメなんだよ。翔くんみたいにゆずだけを甘やかす方が女は胸キュンなんだよ」

あっちゃんが洋平くんにダメ出しした。


「マジかー」

「なに洋平、ゆず狙い?」

あっちゃんの言葉にションボリした洋平くんに、浅田くんがクスクス笑いながらサラっととんでもないことを言う。


「だってゆずカワイイじゃん。カワイイくせにスレてないしさ。いつもニコニコしてるし実は頑張り屋だし、惚れない理由ないじゃん」

そんな言葉と一緒に洋平くんの腕の中に収められた。


「よっ、洋平くん!?」

「コラーーーーーーーーーーッ!!!」


ふわっと後ろから抱き締められた私の慌てた声と、目を吊り上げて洋平くんを引っぺがしにかかったあっちゃんの声がかぶる。


「軽々しくゆずに触るんじゃない!ゆずの身も心も翔くんのモンなんだから!!」

あっちゃんがすごい剣幕で洋平くんを制しながら私を抱きしめる。


「身も心もって…ゆず、もう彼氏とヤっちゃってんの!?」

岩田くんがギョッとしたように私の方を向く。


でもギョッとしたのはむしろ私の方!!

「なっ!!?」



ポカッ!

浅田くんが岩田くんの頭を丸めたしおりで叩いた。


「まったくお前は…えげつないこと言うんじゃないよ。ごめんね、ゆず」


浅田くんに申し訳なさそうに謝られたら…

「ううん、大丈夫」

って苦笑いするしかない。