『柚香先輩が不安がること何もないのに。俺は先輩のことしか見てないから安心しててよ。何なら毎日電話してきてよ。毎日何回でも”好き”って伝えるから』


「そんなこと言ったらほんとに毎晩電話しちゃうからね?」


どうしよう、涙が出るほど今嬉しい。

高遠くんが私の不安を取り除こうとしてくれてるのが嬉しい。


『冗談抜きで電話してよ。待ってるから』


その声がすごく優しくて、とうとう私は涙声になった。

「じゃあ電話する」


『なに涙声になってんの。ほんと先輩かわいいからヤメテ。みんな帰ってくる前にちゃんと涙引っ込めときなね』

「うん」


そろそろさくらちゃんもあっちゃんも戻ってくるかも。

高遠くん、そういうの察するの長けてるよね。


『先輩、俺本気で先輩しか見てないからね。それでも不安ならいくらでも”好き”って言うしいくらでも抱きしめるから、1人で不安になんないで。わかった?』

「…うん。わかった」


『先輩、好きだよ』

「私も好き…」


言いながら涙がこぼれて言葉にならなくなる。

それを聞いた高遠くんが電話の向こうで苦笑いする。

『また泣くー。みんな帰ってきて先輩が泣いてたらビックリすんじゃん。俺と話してるともっと泣いちゃいそうだから、今日はそろそろ終わりにしよ』


高遠くんは優しい。

ほんとうに、ほんとうに優しい。


「高遠くん、おやすみ」

『思いっきり涙声』

高遠くんが電話越しに吹き出した。


『おやすみ、先輩。また明日ね』



大好きな高遠くんの声に包まれて、電話を切った。