私を引っ張って歩いてる間も電車の中でも高遠くんは無言。
私だって突然のことにパニックで無言になる。
「高遠くん…」
握られた手に自分の手を添える。
高遠くんは苦しそうな表情で、わたしのほっぺを片手で包んだ。
そのまま高遠くんの家まで無言で到着した。
高遠くんの部屋についてカバンを下ろす。
「先輩、おいで」
ベッドに座った高遠くんに呼ばれて隣に座る。
「先輩、ごめん…」
高遠くんがわたしの両手を手を握ってうなだれる。
「まだ怖いよね?」
「…うん」
怖いよ。
だって未知の世界だもん。
初めては痛いって、どんだけ痛いかわからないし。
男の人の裸とか直視できないし。
「それでもしたいって言ったら、先輩できる?」
さっきまでの強引な感じはもうなくて、反対に恐る恐る確認してくる。
怖い。
怖いけど、でも…。
「怖いから…ずっと抱き締めててくれる?」
「うん」
「ずっと手を握っててくれる?」
「うん」
我ながら子供のようなお願いだとは思うけど。
「だったら…大丈夫…」