(欲しいって…)



鈍感な私もさすがにわかった。


「ちょっ…待って高遠くん。急にどうしたの?」

「待てない。先輩が悪い」


何で!?

私なんもしてないじゃん!

高遠くんがおかしい!

いつもの高遠くんじゃない!


「高遠くん、どうしちゃったの?落ち着いて」


落ち着いて、と高遠くんに言いつつ私も思いっきりテンパってますけど!



「俺のこと名前で呼ぶから、先輩が悪い」

「高遠くんが呼ばせたんでしょ!?」


なんちゅー理不尽な!

ほんとにどうしちゃったの!?

いつもの冷静な高遠くんはどこにいっちゃったのさ!



「あんな可愛い顔して呼べとは言ってない」


(もーーーーーーーーっ!!)



私を抱きしめてた腕が解かれた瞬間、腕を掴まれて有無を言わさず引っ張られる。


「高遠くん、たんまたんま!」

「待てないって言ったでしょ」


そんなー!

私、心の準備ができないまま大人の階段上っちゃうのー!?