くっそ。

寝ないくせに育つとか嫌味かよ。

私は育ってないんだよ!?

寝てないから!!

……なんかもうぐりぐりなんて出来なくてもいいから、取り敢えず誠の頭に手を届かせたくなってきた。

私は背伸びをしたりジャンプをしたり、誠の服を引っ張ってみたり、色々と試してみたけれど届く気配はゼロ。

「きゃっ!?」

いきなり腕を引っ張られ、バランスを崩す。

そのまま私は何かにスポッ、と収まった。

驚いて見上げると、そこには笑顔の誠がいた。

マジでコイツなんなの。

私は思いっきり誠を睨みつける。

それでも誠は

「ん?」

なんて言ってニコニコしていやがる。

何だコイツのこの無駄な余裕……!!

「ちょっと!」

私は必死に誠の腕から出ようと暴れるも、誠は私の腰に手を回し、ガッチリとホールドしている。

「誠、離してっ!だいたいねぇ……」

私が始めようとした説教は

「うるさい。」

「んっ!?」

誠の一言と唇で遮られた。