ジュリアも自分たちのライブを終えて、物販の時間になった。ジュリアは始まる前にまっさきによしりんのもとに近づいた。「あのさ、あそこにいる子、・・・うん。優ちゃん。あの子歌うまいよねー。まだファンの子がいないみたいだから、今日私のとこにいく変わりにあの子のところに行ってあげてくれない?きっといいアイドルになると思うんだー。ね、頼むよ!」と言って足早に立ち去った。

物販が始まったら、たまたま隣になった。自分の手が空いたのでよしりんに「ほらいけ」と目配せし、誘導した。しかし、何も売るものもなく、突然の出来事に動揺が隠せない優に近づき「はい、チェキ撮りますよ1,000円です」と言ってチェキを撮ってあげた。マジックとチェキ、半分もらおうかと一瞬頭をよぎったがやめて1,000円をそのまま優に手渡した。帰り際お礼を言う優に「物販のチェキぐらいは用意しときなよ。初期投資¥10,000くらいだけどすぐ元はとれるよ。」とアドバイスをしてそこを後にした。

「しばらくはがんばってもらわなきゃねー」

「今度の金曜日だけど、新宿来れる?ライブやってよ。主催者には言っとくから。そこで、紹介したい人がいるの。」先日のライブの後優からツイッターフォローが来たのでこちらからもフォローしていたので、DMを送った。来れるという返事を確認し、「今度さー、いい子みつけたから紹介するよ。今度の金曜日新宿でいいよね?」LINEでジュリアはkenにメッセージを送った。

金曜日に優とkenを合わせ、kenが優の楽曲の提供をすることで話をまとめた。未成年を遅くまでとどめることもできないので、早々に優を返した。kenには「いい子でしょー。フリーだから事務所ともめることもないし。この前めんどくさかったよねー。まさかケツ持ちがいたなんて思わなかったし。」

「けど今回は、紹介料はずんでもらうよー」

数日後に、kenから優とはうまくいったとのこと、次にいつ会うかというのと、紹介料は振り込んでおいた旨のメッセージを受け取った。

次のライブが終わって物販の前によしりんがいたので優のことを聞いた。まだ始めたばっかりでいろいろわかってないこともあるが、本人は凄くまじめで一生懸命やっているという話だった。「そうか、じゃあ、引き続きよしりんさんさ、優ちゃんのこと面倒見てあげてよ。よしりんさんが優ちゃん見たいな子にとって一番の支えになると思うんだー。また気が向いたら私のとこにくればいいよ。」そういってお願いをした。

数日後にブログを開いた。ブログは必ず1日1回更新をすることにしている。たわいもないことでよい。常に自分に目が向くようにしておかなければ生きていけない世界だ。しかし、例外はある。

ブログのコメント欄を見て、毎回1番にコメントをかいていたよしりんがここ数日ブログにコメントをしていないのを見て、思わずガッツポーズをした。

「あっちいったぜー」

またkenに紹介したい子がいたので合わせた時に、優とのことを聞いた。彼女の歌声は本当に素晴らしく、一番期待をしている。間もなく楽曲が仕上がるのでぜひ聞いてほしいとのことだった。了承し、その日は分かれた。

家に帰り、ツイッターのアカウントを新たに作成した。よしりん@優推しをフォローし「今日優ちゃんのファンになりました!相互フォローお願いします!一緒に応援しましょう!」 とメッセージを送った。相互フォローが成立した時点で、車の中から望遠で隠し撮りしたkenと優の腕組みした写真を送信し、ログアウトした。

「出る杭は、抜いて海に沈めちゃわなきゃねー」

END