次のライブの時、アドバイスを受けたとおり電気屋でチェキの本体とフィルムを購入して挑んだ。ライブが終わった後物販の時間になると「ツーショットチェキ1000えん」と書いた札を持って会場の人にいかがですかと声をかけて回った。友達同士で来ていた4人組の男性が反応してくれ、1人が撮影を担当して順番に撮影をした。サインを書いて握手をし、今までどんな活動をしていたかとか、出身はどこかとかいろいろ話をして盛り上がっていた。ふと視線を感じ、目を移すと先日アドバイスをくれたジュリアが自分のほうを見て微笑んでいる。きっとアドバイスに応じうまくやっている自分をほほえましい目で見てくれているのだろうと思い、満面の笑みでレスを返した。

「あ、あのー」小さな声に気づき横を見ると、どこかで見た顔。よしりんさんだ。「チェキ、いいですか・・・?」今日も来てくれていたのだ。「あ、はい。すみません、撮っていただいていいですか。」先の4人組の1人にチェキを渡し、一緒に撮影をする。撮影が終わってサインを早々に書き終え、手渡すと、4人組がやたらとテンションが高く同じお笑い芸人が好きということがわかり話が盛り上がっていたのでそのまま話しこんで物販は終了した。

家に帰り、「今日もライブでした!ありがとうございました!」という書き込みをした。「新しい推しを発見しました!笑」と、リプライが返ってきた。アイコンの写真を見ると、今日会った4人組の1人だということが分かった。ツイッターのフォロワーも今日は7人増えている。リプライに返事をしようとしたところ、またリプライが届いた。よしりんさんからだった。「おつかれさま。今日の物販の対応はちょっとひどかったな。チェキを撮ったあとは1対1で1分は会話する時間がないといけないんだよ。常識なんだからわかっててほしいな」他の4人組との話で盛り上がり、対応がなおざりになってしまった。不快になる気持ちもわかる。「ごめんなさい、まだ始めたばっかりでよくわかってませんでした。次からはちゃんとやるのでどうかまた来てください」お詫びのリプライを送って、どっと疲れが押し寄せ眠ってしまった。

翌日「今度の金曜日だけど、新宿来れる?ライブやってよ。主催者には言っとくから。そこで、紹介したい人がいるの。」ジュリアからDMが届いた。ツイッターの相互フォローをしていたのだ。「わかりました。行きます。」

金曜日にライブ、物販も終え、楽屋でジュリアに話かけた。「じゃ、行こうか」と歌舞伎町のバーにつれて行かれた。「あ、あなた未成年だったね。メニューのここがソフトドリンクだから何かたのみなよ。すぐ帰らなきゃだね。」いろいろ気遣ってくれるジュリアがまるで親戚のように感じる。「あ、じゃ、オレンジジュースで」と注文を終えたところで、一人バーに入ってきた客がジュリアに声をかけ、ジュリアが一つ席をずれ、優とジュリアの間に座ってきた。茶髪で、ピアス。日焼けした肌で背が高く、イケメン。自分にさわやかな笑顔を見せる。「kenっていいます。よろしく」そういうと、店員にビールを注文した。「この人ね、今大学生なんだけど音楽作っててね、アイドルの子とかに楽曲提供してるの。あなたまだオリジナル曲ないでしょ?作ってもらったらどう?」ジュリアが話す。「え、でも私、作ってもらうって言ってもお金とかないし・・・」「大丈夫、初回はサービスでやらせていただきます」kenはすぐにそう切り返した。と同時にkenに電話がかかってきたらしく、一時席をはずした。ジュリアが耳元まで近づき、「あいつね、親が大病院の院長やっているの。楽曲作るのはまったく趣味でやってるからお金とかは気にしないで。」と耳打ちをした。kenがもどり、さっそく日曜日に楽曲作成のためkenのスタジオにいくことになり、その日は終わった。