「そうだね。ありがとう。ところで柚希はここで何をしてたの?ご飯を食べに来たってわけじゃなさそうだけど」

柚希のテーブルの上にはマグカップ一個だけ置かれていて食事をしていた形跡は見受けられない。

「ちょっと暇だったからカフェ巡りでもしようと思ってね」

出たよ、カフェ巡り。よく趣味のない女子がお洒落さと可愛らしさをアピールするために使用される用語だ。よくどこに行くの?と聞いたら8割はスタバと答える。(僕調べ)
 
そもそもカフェ巡りってなんだ。

要はカフェを飲みながらまったりした時間を過ごすことでいいの?

それって楽しいの?

ぼっちと何が違うの?

ひとりで外でご飯食べている人は趣味ピクニック巡りってこと?

「そうなんだ~。お洒落なんだね」

「絶対そんなこと思ってないでしょ?」

柚希がジト目で見て来る。

「バレた?」

「バレバレだよ。顔に嘘ですって書いてあったもん」

「柚希には嘘つけないな」

慶太と柚希はお互いの目を見つめてクスクスっと笑う。

どうしてだろう。さっき初めて会ったはずなのにそんな気がしない。昔から知ってい
たような感覚がする。

「慶太くん、この後の予定は?」

「まだ自由時間、二時間あるからそこらへんぶらぶらしようと思ってる」

「じゃあさ、付き合ってよ」

「ごめんさい。さっき知り合ったばかりでお互いまだ分かり合えてない部分も多いからまずは友達から」

「そっちの付き合ってじゃなくて私の用事に付き合ってってこと」

ベタすぎる小ボケに喰い気味にツッコんできた。

「知ってる。んでどこ行くの?」
 
せっかく入れてくれた小ボケのツッコみを何食わぬ顔でスル―して話を先へ進める。
 
「じゃあ、言わないでよ。