「海人さん、ここで待ってて。
私、冷たいお茶と氷をもらってくるから」


そう言ってひまわりが立ち上がると、海人はひまわりの手を握った。


「大丈夫だから・・・

ひまわり、僕の側にいて・・・」


そう言った海人の声は、花火の音でひまわりには届かなかった。


「すぐ、戻ってくるから」


ひまわりはそう言い残し、出店のある方へ走って行った。

出店で冷たいお茶を買い、氷をビニールに分けてもらっていると、背後で凄まじい轟音が響いた。
ひまわりは驚いて振り返ると、空を覆い尽くすほどの満開の花火が上がっていた。


「今日のラストだね。

さすがにでかい花火だったね~」


店主が店に残っている客にそう言っているのが聞こえた。

ひまわりは海人が心配でお茶とビニールに詰め込んだ氷を持って、海人の待っている場所へと急いだ。