そんなことを考える海人は、明らかに真近に迫る別れを本能的に感じ取っていた。

海人は何も知らない無邪気なひまわりを見ながら、今日は二人の最高の思い出になる一日にしようと心に決めた。

すると、急に、ひまわりがしゃがみこんで、海人を呼んだ。
海人が見てみると、ひまわりの下駄の鼻緒がほどけかけていた。
海人はしゃがんで、上手に鼻緒を結び直してあげた。


「海人さん、すごい。ありがとう」


そう言って下駄をはき直したひまわりに、海人はしゃがんだままキスをした。
ひまわりは一瞬驚いたふりをして、笑いながら海人の下くちびるを噛んだ。



ひまわりの柔らかいくちびるを、僕は、一生、忘れないだろう・・・