サチは海人の話を聞きながら泣いた。


「サチさん?

どうして泣くんですか?」


海人はサチの涙に不思議と癒されていた。


「私はその戦争の頃はまだ小さい子供だったけど、あの時の悲惨な日本はよく覚えている。

今の平和な日本があるのは、あなたのような若者が頑張ってくれたおかげだよ」


海人はその言葉を聞いた時、やはり自分はあの時代で人生を全うしなければならないのだと、頭の片隅で思った。


「サチさん、僕は、たぶん、この時代に来る直前にミサイルに撃たれて死んでしまったんだと思うんです。

この原因不明の頭痛は、きっとその時の痛みのような気がして・・・」


海人は自分で言いながら、またさらに大きな不安に襲われていた。