ひまわりは、いつもの時刻に民宿に着いた。
海人はいつも民宿の玄関先でひまわりを待ってくれているのだが、今日はその姿はなかった。
ひまわりは少し不安を覚えながら、早足で海人の部屋へ向かった。
部屋に入ると、布団の上に青ざめて座っている海人が見えた。
「どうしたの?
顔が真っ青だけど、大丈夫?」
ひまわりは海人に寄り添い、額に手を当て熱がないか調べた。
すると、海人はぶっきらぼうにひまわりの手を振り払った。
「ちょっと、疲れただけ。
大丈夫だから・・・」
海人は険しい表情を浮かべたままそう言った。
ひまわりは麦茶をコップに注ぎ、海人に手渡した。
海人はそれを飲むことすら忘れているかのように、コップの中を呆然と見つめている。
「海人さん?」
ひまわりは抜け殻のようにしか見えない海人が心配になり、大きな声で呼んだ。