そしてそのまま、俺は逃げた。


「短い期間だったけど、案外楽しかったよ。ありがとな、佳穂」


何て、


本当に馬鹿馬鹿しい。


それに佳穂は、少しだけ瞳を揺らした。


……俺は、それに気付けなかったが。


「……私も、楽しかったよ。ありがとう、慧君。……さようなら」