「ごめんなさい、呼び出したりして」


温度のない、それでいて美しい、よく通る凛とした佳穂の声が中庭に響く。


「構わないけど、どうした? 急に話があるって」


「……うん。話すことが、あるの」


「うん」


俺はただ静かに頷き、佳穂の言葉を待った。


少しして、俯いていた顔を上げると、佳穂は口を開いた。