「やだ、帰りたくありません。まだ飲みます!!」
そう言いムギュッと課長にしがみついた。

離れたくない。

「あ、こら。尾野!?飲むって……お前。
あんなに飲んでいてまだ飲む気か?
馬鹿なことを言っていないで、このまま帰れ」

「嫌だ。まだ帰りません!!
帰りたくない」
そう言い意地でもタクシーが停まっても
課長にしがみついたまま離れなかった。

まるで駄々をこねてる子供だ。

子供なら子供のままでいい。
むしろ子供だったら課長は、優しくしてくれるかも知れない。

梨々花ちゃんみたいに笑ってくれるだろうか?
そう思うと涙が溢れてきた。

すると溜め息を吐く課長。
私は、その溜め息を聞いてビクッと肩を震わせた。
もしかして……怒らしちゃった?

それとも心底呆れてしまったのだろうか。
謝るべき……だろうか。
さすがにやり過ぎたと我に返ると後悔と恥ずかしさで
泣きそうになる。

そうしたら
「ったく……仕方がないな。
なら、俺の家で飲み直すか?」

「…………はい?」
思わない言葉に一瞬何を言っているのか
分からなくて驚いた。