「会計は済んだ。尾野。歩けるか?」

「歩く前に……うっ……吐かせて下さい」
もう吐くギリギリだった。

「おい。ここで吐くな!?
ちょっと待っていろ。今トイレに連れて行ってやる」
課長は、慌てて私をトイレまで連れて行ってくれた。

もう……死にたいぐらい最悪だ。

トイレで思いっきり吐いたから
少しだけスッキリした。
でも足元がフラフラなため課長が私をおぶってくれた。

「大丈夫か?尾野」
おぶり直しながら私に声をかけてくれる。

課長の背中は、広くてたくましい。
直接体温を感じて安心する。

「……苦しい……です」

心が……。

「苦しい?飲み過ぎるからだ……ったく。
今タクシーを呼んでやるから、そのまま帰れ」
そう言いタクシーを呼ぼうとする。

嫌だ。
せっかく課長と一緒に飲めておぶってもらってるのに
このまま終わらしたくない。