「そんなことないと思いますよ。
課長の娘さんに対する愛情は、伝わってきますし
きっと梨々花ちゃんも分かっていると思います」

私から見てもよく分かる。
課長が梨々花ちゃんに対する愛情が。

すると課長は、
「……そうだといいが。すまないな。
気遣ってくれて」
申し訳なさそうにだが笑ってくれた。

でもその笑顔は、私に向けられたものじゃない。
梨々花ちゃんに向けられたものだ。
ズキッと胸が痛む。

私は、グッとビールを一気に飲み干す。

「尾野。お前……一気に飲み過ぎると
悪酔いするぞ?」

「大丈夫、私強いので。すみませーん。
ビールを一杯お代わりを下さい」
平気なふりをしてもう一杯お代わりをした。

だが、そこまで強いわけじゃない。
半分モヤモヤを誤魔化すためのやけ酒だった。

結局。
たくさん飲み過ぎて気持ち悪くなってしまう。

「ほら見ろ。言わんこちゃない」
呆れたように溜め息を吐く課長。

うぅっ……申し訳ない。
自分でも情けないやらで穴があったら入りたいぐらいだ。
気持ち悪い……。

「……す、すみません」