「阿部さん……」

阿部さんは、たまに私に弱いところを見せてくれる。
本人は、カッコ悪いと言っていたが私にとったら
何だがホッとする。

カッコ悪いとは思わない。
むしろ……何か胸がギュッと締め付けられる。
私は、無意識に彼に触れようとした。

だが、ハッとしてやめてしまう。
やだ……何を考えているのかしら!?
慌ててその手を引っ込める。

しかし、その行動を見ていた阿部さんは、
「……千奈美さんはさ。今は、誰が好きなの?」
突然そんなことを質問をしてくる。

えっ……?
どうして……突然!?

驚いていると立ち上がる阿部さん。
そして切なそうに私を見つめてきた。
ドキッと心臓が高鳴る。

「君の心は……まだ課長の中にあるの?
それとも……恵斗に惹かれつつあるのか……?」

「何で、恵斗さんの名を出すんですか?」

私の好きな人は、課長。
それは、阿部さんも知っているはずなのに
何でそんなことを聞くの?しかも
恵斗さんまで入れるなんて変よ……。

「私は……」