陸斗って……何処かで聞いたような名前のような?

きょとんとしている私に女性は、
「あぁ、突然ごめんなさい。
私、阿部陸斗の姉で阿部香織と言います」
フフッと微笑みながら自己紹介をしてくれた。

えぇっ!?
阿部さんのお姉さん!!?

まさか、こんなところで阿部さんのお姉さんに
会うなんて思わなかったので驚いてしまう。
阿部さん……お姉さんが居たんだ?

「あら、知らなかった?
もうあの子ったら……姉が居ることぐらい
言ってくれたらいいのに」
もうと溜め息を吐くお姉さん。

あぁ、でも納得した。
道理で笑い方とか雰囲気が似ている訳だ。

するとさゆりが
「ちょっと阿部って……あんたのお見合い相手の名でしょ?
何これって、偶然にしたら凄くない!?
まるで運命みたいじゃない」
興奮気味に言ってくる。

運命って……大げさな。
でも、まさかこんなところで会うなんて誰も想像なんてしないだろう。

「あの……気付かなくて失礼しました」
どうしたらいいか分からずに取り合えず謝罪をする。

「あら、いいのよ。私も千奈美さんに会えて
嬉しいわ。あの子ってら、どうやらあなたに本気みたいで
どうやったら女性を喜ばせるか私やもう1人の姉に
アドバイスを求めてきたぐらいなのよ?」
フフッと笑うお姉さん。

私のために……うん?もう1人の姉……?