「お前、相変わらず恥ずかしいやつ」

「うおわっ、なっちゃん! いたの?」



校門出て曲がった瞬間に幼なじみの水瀬那月、通称なっちゃんに出くわしてしまい、驚きを隠せない、わたし。


神出鬼没の幼なじみ、それがなっちゃん! ……なんつって。

こんなこと思ってると知られたら怒られちゃいそうだ。



「葵先輩もいるよ~」

「ついでに夕希先輩もいるよ~」



なっちゃんの後ろからひょこひょこっと、顔を出してくる二人の先輩。


目がクリッとしていて天然ですごくかわいいわたしの憧れの先輩、曽谷葵先輩。

そしてなっちゃんのお兄ちゃんでわたしにとってもお兄ちゃんのような存在の、夕希先輩。


水瀬兄弟とは小さい頃から、葵先輩とは中学の頃からの付き合いでわたしたち四人は自分で言うのもなんだがとっても仲良し。

高校生になってもこうして、毎日登下校を一緒にしているほど。


年齢・男女を超えた友情とはまさにこのことよ。



「先輩たちも! へへへ、待っててくれたんですか?」

「葵先輩が、結衣と帰りたいって言うから」

「おおお? 相変わらず葵先輩には甘いなっちゃんだことで」



なんてわたしがからかうと女子に対してとは思えないスピードと威力で背中を叩かれてしまった。


イタイ、大分イタイ、これ絶対背中に紅葉できてるッ。