「ミーハーな結衣に良報」

「ミーハーじゃないもんっ」



わたしはすかさず言い返すけれど特に気にせずなっちゃんはなっちゃんらしからぬことを言った。


「陸上部、すっごいイケメンがいるらしい」

「え、何ソレ那月、俺の事?」



実兄の言葉を華麗にスルーしてなっちゃんはわたしの頬をつねりながら言った。



「結衣もそろそろ恋、したら?」

「むう……」


なっちゃんの意図が読めてしまった。

コイツ、いつもわたしが葵先輩とのことからかってるからその分わたしに仕返しがしたいんだ!


よし決めた。こうなったら、意地でもそのイケメンさんには恋はしない!

なっちゃんの思い通りになってやんない!



「ふっ……なっちゃんこそそろそろ伝えたら? 三年も片想いしてまだ二人で遊びに行ったことないなんて、って、痛い痛い痛いッ! ゴメン! 冗談! 嘘だよ嘘ウソ!!」



だっさーい、そう言ってやろうとしたのになっちゃんが本気で頭をぐりぐりしてきたので、それは叶わなかった。